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SDVの組織構築と戦略: SBD AutomotiveのSDV専門家によるQ&A


自動車業界、さらにはその枠を超えたプレイヤーたちによって開発される、テクノロジーに焦点を当てた自動車の数は増加しており、自動車が開発される方法だけでなく、最終的にエンドユーザーの体験(UX)に影響を与え得る、エキサイティングなシフトに拍車がかかっています。このシフトが目指すところは、様々なUXを提供する新たな機会を生みだし、複数の機能領域にわたって技術革新を加速させる可能性のあるソフトウェアディファインドビークル(SDV)です。しかしながらこのビジョンは、SDV開発に取り組む自動車メーカーが、その可能性を最大限に引き出すために必要なビジネスの手段を組み込んでいる場合にのみ実現します。

SBD Automotiveが発行した新刊レポート「ソフトウェアディファインドビークル:組織構築と戦略」では、そうした対策や、それらを実施する最善の方法、業界における従来のプロセスとの関連性について解説しています。本記事では「ソフトウェアディファインドビークル:組織構築と戦略」レポートの筆頭執筆者であるSimon Halfordにインタビューを行い、今回の調査実施に至った背景や、その調査中に得られた興味深い発見、それらから最も恩恵を受け得るのは誰かについて深く掘り下げています。


Simon HalfordによるQ&A


SBD Automotive(以下、SBD):SDVへの旅が進む中で、これまでに見た中で最もエキサイティングな進歩とは?


Simon Halford(以下、SH): 同じ電子機器上で複数の重要な機能が動作し、無線で更新されるソリューションを発表する企業が現れ始めています。これは、ソフトウェアディファインドビークルを実現するための重要なステップです。 その重要性および実現可能性については以前から認識されていましたが、カップリングされたソフトウェアを安全に実装するだけでなく、その価値を最大限に活用するためのビジネス・プロセスと文化の整備が進むことは、本当にエキサイティングなことです。



Q2:「ソフトウェアディファインドビークル:組織構築と戦略」レポート作成のための調査では、どのようなことを明らかにしようとしたのか?


SH:これまでの経験から、SDVを実現するためにE/Eアーキテクチャーを準備することと、その価値を提供できるビジネス戦略を持つことには大きな違いがあることが分かっていました。例えば、Volkswagen Groupは、現在世界で最もエキサイティングなE/Eアーキテクチャーを持っていると私は考えていますが、その価値を提供するのに苦労しています。このような観点から、私は、こうした目に見えにくい要素のベストプラクティスとは何か、また、SDVのメリットを実際に提供するにあたってどこにギャップがあるのかを明らかにしたいと考えました。



Q3:調査およびレポート作成にあたって最も印象深かったこととは?


SH:のトピックはすでに非常に広範であると同時に、SDVへの道のりが進むにつれて、ますます重要性が高まっています。そのため、私たちの分析に外部の視点を取り入れ、協力することが重要だと感じました。特に、TeslaやPolestarにゆかりのある専門家と共ににこれらのトピックに取り組んだことは印象に残っています。例えばJason Craker氏は次のような興味深い洞察を共有してくれました:

「伝統的なOEMメーカーがイノベーション・ハブやベンチャーキャピタリストの投資部門を設立し、新興企業のインキュベーターやアクセラレーター・プログラムと強力な関係を結ぶという最近のポジティブなトレンドが見られます。この傾向は実に前向きなものですが、グローバルな購買チームによってコモディティ化されることなく、こうしたパートナーシップや関係を推進するための商業的な事業開発能力や可能性はどこにあるのでしょうか。」



Q4:最も驚くべき発見とはなんだったか?


SH:私たちは、SDVを実現するために必要な2つの重要なステップを特定しました:

1つ目は、権限を与えられているオーナーを明確に特定することです。いくつかの重要な側面について、明確なオーナーシップを持つ必要があることは予想していましたが、権限を与えられたリーダーシップを持っていない要素が多いことに驚きました。オーナーシップのグレーゾーンが広かったり、ビジネスに影響を与えることができないチームとオーナーシップを結んでいたり、あるいは、影響を与えるために組織内の誰と組む必要があるのかがわからないといった単純なことなのかもしれません。

もう1つは、SDVのメリットを促進し、実現するために必要なスキルセットに関するものです。この点で、私は、このようなメリットを提供することに伴う緊張感や難しさに不慣れなリーダーシップチームとのギャップがいかに大きいかに驚かされました。



Q5:今回の調査および報告書で共有される情報から最も恩恵を受けるのは誰か?


SH:このレポートは、重要なトピックについて文化的・組織的な方向性を決定する権限を与えられている人たちだけでなく、SDVのメリットを確実に提供するための理解や言葉を求めているチームにとっても興味深いものとなっていると考えます。


結論


このQ&Aの中でSimonが提供したインサイトから、SDVがすでに従来の業界の手順をいかに覆しつつあるか、また、SDVが登場するまでにどれほど大きな影響を与えるかということは明白です。SDVを開発する企業にとって、このような変化に対して優位に立つことが非常に重要です。「ソフトウェアディファインドビークル:組織構築と戦略」レポート本編では、こうした変化についてプロファイルし詳説しています。

本書はSBD Automotiveが2023年にSDVのさまざまなレイヤーとイネーブラーを調査し発行する4つレポートのうちの1つで、SDVを新たな車両ラインナップに組み込むために採用されているさまざまな戦略を分析しています。本レポートでは、ソフトウェアディファインドビークルのコンセプトを紹介し、その中核となる原則やイネーブラーとともに、これまでの進化について解説しています。また、SDVの可能性とメリットを最大化するために、新旧のさまざまな業界プロセスの間でどのようにバランスを取るべきかについて深掘りしています。



将来の車両ラインナップにソフトウェアディファインドビークルを統合するためのベストビジネスプラクティスについては本書で詳細に解説しています。本書の詳細は下記よりご覧いただけます。



ソフトウェアディファインドビークル調査レポートの全ラインナップに関するお問い合わせは、SBD Automotviveジャパン( Postbox@sbdautomotive.comまでお問い合わせください。

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