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【カンファレンス・レポート】ソフトウェアディファインドビークル: そのモチベーションと実現に伴う変革



2022年10月7日、SBD Automotive 。 ソフトウェアディファインドビークル - モチベーションと変革を東京で開催した。


本カンファレンスでは、SBD AutomotiveのChief Commercial Officer、Jeffrey Hannah、シニアコンサルティングスペシャリスト、大塚真大に加え、Amazon Web ServicesおよびRed Hatよりゲストスピーカーをお迎えし、SDVを構成する開発~商業化までの要素とその階層構造、SDVを実現するテクノロジー、SDVの収益化戦略などについての講演が行われました。


SDVは単にSW開発力を組織に足せばいいというものではなく、その価値を最大限利用しようと考えるとOEMのビジネス・組織全体の変革が必要となるものです。

急激にSDVへの組織・ビジネス変革を進めているOEMもあるが必ずしも成功しているとは言えず、OSS(オープンソースソフトウェア)やIT業界のサービスを利用することは多くのOEMにとって有効な手段です。さらに、SDVは世に出てから多くの価値をもたらすものであり、その活用戦略は直接収益だけでなく顧客ロイヤリティ、内部オペレーション・開発など様々な面で総合的に戦略を立てていく必要があります。



アジェンダおよび各講演のポイントは下記の通り:



1.はじめにソフトウェア定義自動車の重要性 ジェフリー・ハンナ - CCO、SBD Automotive

SDVとは自動車の機能がHWではなくSWによって定義された車両の姿、概念です。ハードウェア統合が進むことによって部品点数の削減、ソフトウェア機能の進化によって可能になるソフトウェアアップデートによるリコール・保証の対応、また車両をアップデートすることによって常に新鮮な体験を顧客に届けられるというようなメリットがあります。業界をリードするフォルクスワーゲンなどはSSPという戦略を発表しており、シンプル化されたハードウェアプラットフォームの上でソフトウェアで定義された機能によってセグメントやブランド間の体験を差別化する、というものです。

SBDが考えるSDVに対する戦略には様々な段階があり、ハードウェアプラットフォームの構築から始まり、開発力の強化、人材獲得、アジャイル型の組織編制、変化する顧客の要望に応える迅速なアップデート、豊富な体験を可能にするデジタルエコシステムなど、OEMのビジネス全体の変革が必要です。これに対し大きく3つのアプローチ(アウトソース統合型、長期漸進型、短期急変革型)が考えられますが、どの戦略もすべてのメリットを享受することは難しく、OEMは優先事項と妥協事項の選択をする必要があります。業界全体でソフトウェア開発に多額の投資が行われていますが、人材獲得が一番の障壁となっていあす。開発に対する課題を手助けするソリューションとしてOSS(オープンソースソフトウェア)の存在が自動車業界でも大きくなっています。やればいいというものではなく、現在急変革を進めているOEMが必ずしも成功しているわけではないものの、どのようなアプローチであれ変革に取り組んだプレイヤーが次世代での顧客を獲得することになるでしょう。


2. SDVソフトウェア戦略の実現
(Red Hat、Principal EcoSystem development Manager、 In-Vehicle OS Product and Technology、若林 秀彦氏、Cloud Solution Specialist、Manufacturing Service Industry Sales、井上 陽治氏)

Red Hat(RH)の講演ではソフトウェアの複雑性が指数関数的に伸びる中でのOSSの重要性が指摘されました。IT業界で常にイノベーションが起こり続けている要因の一つはOSSです。RHはエンタープライズLinuxの第一人者としてIT業界のイノベーションを牽引し、またサポートしてきました。


近年開発したRHIVOS(Red Hat In-vehicle OS)では、Linuxのオープン性と開発コミュニティ、そしてRHのクラウドネイティブの考え方を車載ソフトウェアに持ち込んでおり、ASIL-B認証を取得し、幅広く使えるOSとなっています。ただし現在のLinuxはRTOSなどを置き換えるものではなく、適材適所で使い分けをすることがソフトウェアアーキテクチャ設計で重要です。


3.SDVのマネタイズ:パーソナライゼーション、インサイト、データ、OTA、FaaS 大塚 雅弘 - コンサルティングスペシャリスト、SBD Automotive Japan

SDVはそれを開発して終わりではなく、自動車業界の顧客や自動車ビジネスにあったマネタイズ戦略を展開する必要があります。SBDはデータ活用、OTA、FaaS、パーソナライゼーションがSDV収益化戦略の大きな柱であると考えています。これらの要素はIT業界、GAFAなどのビジネスモデルでも非常に重要な項目であるが、SDVの収益化戦略はそれらの収益構造とは違った視点から設計する必要があります。たとえば自動車から生み出されるデータから直接大きな収益が得られることはほとんど期待できず、多くの消費者は自動車の様々な機能がFaaSで提供されることを望んでいないことがわかっています(SBDの調査・考察に基づく)。


OEMとしては、4つのサービス・機能の中でのほとんどの項目は顧客ロイヤリティ向上・内部オペレーション効率向上・開発イノベーションのための投資と割り切ることが重要になるでしょう。そしてSDV収益化のKPIは直接収益だけではなく、今挙げたすべての要素を考慮して総合的にビジネスモデルへの貢献・その成功を判断すべきです。


4.SDVツールとシミュレーションのためのクラウドの活用 John Vangelov - 主任コンサルタント、Amazon Web Services, Inc.

AWSはクラウドサービスのパイオニアであり、自動車業界のクラウドについても多くのOEMやサプライヤー・サービスプロバイダーをサポートしています。近年ローンチしたAWS IoT Fleetwiseは、初の自動車業界専用のサービスであり、これによってOEMがクラウドと自動車の統合について抱えている様々な課題を解決することができます。さらにAWSは自動車業界へのクラウドサービスについてフルスタックで対応できるポートフォリオを有しています。vECUはクラウド上に任意のECUアーキテクチャをエミュレートすることができ、これによってECU開発を格段にスピードアップすることができます。このようなフルスタックでの開発サポートは、今まさにSDV組織へ生まれ変わろうとしているOEMにとって非常に大きな価値をもたらすものです。


5.パネルディスカッション Amazon Web Services、Red Hat、SBD Automotive

Q.今日、自動車業界 は、テスラ、NIO、XPengのようなソフトウェア・ファーストのディスラプターから、いまだにソフトウェアの多くを外注している伝統的なOEMまで、多種多様です。RHやAWSのようなITネイティブ企業から見た自動車業界 の現在の価値は?


A.欧米や中国のOEMの多くは、ソフトウェアファースト、クラウドネイティブ開発を導入するために積極的に組織を変革していると感じています。しかし、日本のOEMは変化に対して保守的な印象があり、その背景には、ソフトウェア開発者はもちろんのこと、クラウドネイティブな開発を考えられる人材が非常に少ないことがあると感じています。これは日本のIT産業の産業構造もあるが、人材がいなければ新しい発想は広がらないという危機感もある。

巨大な規模のOEMはソフトウェア開発の多くを自前でやり遂げようとしており、それは素晴らしい戦略であると思われます。ただし、RHやAWSのようなITスペシャリストのサービスを使うことによって見えてくる世界もあります。


弊社のサービス等に関するお問い合わせはPostbox@sbdautomotive.com にて承っております。


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