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変化するOEMによる投資方法と投資先





大手自動車メーカーが2016年以降、自社とそのビジネスの変革における競争において投資または買収した企業の数は700社に及びます。今後、企業買収は減少する一方で、OEMによる投資案件は増加の一途をたどる可能性があります。なぜならば、競争力を維持するために必要な能力を、自社だけで開発することが難しくなっているからです。


本記事では、OEMが投資活動に注力している主なトレンドと、これらの取り組みから明確な戦略的利益を得るために何をすべきかを検証します。


同分野における動向

過去5年間でOEMによる企業買収の件数は減少していますが、OEMはこれまで以上に戦略的な投資を行っています。

  • 現在、自動車メーカーのほとんどがベンチャーチームを立ち上げスタートアップへの投資や買収を行っており、これらのチームは多忙を極めています。パンデミック時には落ち込んだものの、ここ2年間は過去最高の投資件数を記録しています。

  • OEMは知的財産のギャップを埋め、サプライチェーンの確実性を高めるだけでなく、新たな企業に投資する際に「Try Before You Buy(買う前に試す)」というアプローチを採用しています。

  • 全体的に取り組みは活発化しているものの、5年前と比較して買収件数が少なくなっているのはなぜなのでしょうか?資金繰りが厳しくなっていることもありますが、買収した企業のチームや文化を統合することに成功した企業が少なかったことも理由のひとつと考えられます。


なぜ、それが重要なのか?

SBD Automotiveでは、このような投資の伸びを後押ししているトレンドを分析し、OEM各社がどのような領域に力を注いでいるのかを検証しました。

  • いくつかの傾向は自明である:EV導入の圧力は、バッテリーへの投資拡大につながっている。 EV普及への圧力は、バッテリーへの投資拡大につながっているスタートアップ 。 への投資が増加している。

  • その他の成長トレンドは、OEMにとってあまり明白ではない注力分野を示している:フィンテック 自動車購入方法の近代化に貢献するフィンテック、衛星技術 ローカライゼーションやOTA 戦略の拡大を支援する衛星技術、自動車部品の製造方法の近代化を支援する3Dプリンティング 自動車部品の製造方法の近代化に役立つ。

  • 対照的に、OEMはスケールアップに苦労している分野(シェアモビリティなど)やコモディティ化されつつある分野(充電インフラなど)へのVC資金の投入を減らしている


今後の展望

不透明な世界経済と金利の上昇により、今後1-2年の間、自動車業界 における投資や買収の動きは鈍化する可能性があります。

  • OEMは大きな獲物をターゲットにするよりむしろ小さな獲物を狙って大きな網を張ることを選択し続けると見られるため、特にOEM主導の買収は減少する可能性があります。自動運転のような特定のトレンドでは、規模の小さいプレーヤーは投資資金の調達が困難であり、OEMは自社の能力の穴を埋めることを模索するため、買収が増加する可能性があります。

  • しかしながら中期的には、新興のトレンド(ブロックチェーン、量子コンピューティング、スマートマテリアルなど)が引き続き拡大しているため、OEMが投資や買収をせずに競争力を維持することは困難です。

  • OEMに限らず、テックジャイアント のような新たなディスラプターの投資や買収を追跡することも重要になります。


  1. 世界的な景気後退のリスクにより、投資・買収意欲が低下

  2. OEMは、慎重な姿勢を反映し、買収よりも投資に重点を置き続ける

  3. 小規模なスタートアップは大規模なプレーヤーへの追随に苦戦、自動運転のような特定の分野がより注目される

  4. OEMは幅広い技術イノベーションに対応するために、投資(および買収)に大きく依存し続けると見られる

  5. 今後、テックジャイアントのような人材や技術の獲得に実績のあるディスラプターが、ますます重要な役割を果たすことになる



注目すべきは?

全てOEMによる投資・買収のうち、50%以上はToyota、BMW、Volkswageという3社によるものです。

  • 特にToyotaは、2016年以降に148件の投資・買収を行うなど、OEMの中でも非常に積極的な活動を行っています。

  • OEMの戦略は、投資サイクル(Toyota、Hyundai、FordなどのOEMは減少傾向)、投資タイプ(ディスラプターOEMは完全な買収を重視する傾向が強い)、スタートアップの資金調達段階(Mercedes-Benzは既存OEMの中で最もCシリーズ以上の資金調達ラウンドを重視する)により異なります。

  • 注意すべき重要なポイントは、多ければ多いほどよいというものではない、ということです。特定のOEMが行った多数の投資は、エコシステムの大部分を「所有」するための協調的な取り組みというより、むしろ多数の子会社間におけるバラバラの意思決定を反映している場合があります。



とるべき対応

Capitalizing

先行き不透明な経済状況により課題と機会の両方が生まれる: スタートアップが慎重さを増す投資家から新たな資金を調達するのに苦労する中、十分なキャッシュを持つOEMは戦略的な取引を行うのに絶好のポジションとなるでしょう(ただし、多くの投資家は引き続き豊富なキャッシュを保有)。


Consolidating

多くのOEMの間で投資の意思決定が分散しており、非効率的な運用がなされています。VC予算をより少数の戦略的投資に集中させるOEMは成功する可能性が高いものの、そのためには、投資の意思決定をグローバルおよび子会社間でよりしっかりと集中させることが必要となるでしょう。


Engaging

スタートアップへの投資であろうと買収であろうと、OEMには新たなパートナーとの関わりと連携を改善するために、いまだやるべきことがあります。取引の「戦略的」な部分を確実に実現するためには、IRR以外の測定可能な KPI が必要です(例:X年間でOEMによる新技術の発表につながった取引の割合など)。


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