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SBD Explores:双方向充電の可能性





規則(EU)2023/1804の第15条では、EU加盟国は、2024年6月30日まで、およびその後3年ごとに、充電ポイントの配備と運用によって電気自動車が以下のようなエネルギーシステムの柔軟性にさらに貢献できるようになるかを評価しなければならないとしている。 エネルギーシステムの柔軟性以下を含む バランシング市場への参加そして 再生可能電力の貯蔵.


本記事では同規則がEVオーナー、エネルギー消費者(EVオーナー以外も含む)、自動車メーカー、充電設備会社に及ぼす影響について解説します。


同分野における動向

規則(EU)2023/1804は、2024年4月13日から適用される予定です。同規則の第15条では、加盟国に対し、V2G技術を用いてEVを送電網に統合するための選択肢を評価するよう求めています。

  • EU規制は、V2G統合を段階的に展開するための義務的目標を定めています。また、現在のエネルギーインフラに関する報告の仕組みも規定しています。この仕組みには、スマートおよび双方向オプションを含む充電ポイントのタイプ、および公共および民間の電力出力の評価が含まれます。評価には、充電ポイントの種類と地理的分布に関する推奨を含める必要があります。

  • 各EU加盟国は充電ステーションを評価し、必要であれば拡張しなければなりません。また、同規則の第5条に概説されているように、充電ステーション事業者は、2024年4月13日以降に建設された、または2024年10月14日以降に修繕された、公共のアクセス可能な充電ポイントについて、「スマート充電」機能に準拠する必要があります。この機能により、将来のV2G統合への道が開ける可能性があります。

  • EVの双方向充電機能の機運が高まる一方で、いくつかの規制条項は草案段階にとどまっています。例えば、カリフォルニア州のSB 233は2023年9月に無効とされています。

双方向の充電と太陽光発電が可能なホーム・エネルギー・マネージメント・システム。

なぜ、それが重要なのか?

EVの普及に伴い、電力需要のピークが高まる可能性が高いとみられます。適切な対策を講じなければ、インフラやエネルギーコストの増加につながりかねません。

  • V2L、V2H、V2B、V2Gを含む双方向充電は、グリッドバランシングを通じて、EVの所有にかかわらず、すべての消費者のエネルギーコストを削減できる可能性があります。

  • V2G技術によるグリッドバランシングは、「ピークシェービング」のプロセスであり、EVを非ピーク時に充電し、ピーク時には家庭やグリッドにエネルギーを放電することで、ピーク時と非ピーク時の両方を平均に近づけるというものです。

  • V2B(Vehicle-to-Building)は、V2H(Vehicle-to-Home)と仕組みは似ているものの、規模が大きくなります。商業施設や産業施設は、消費されたエネルギーではなく、ピーク時の電力消費に基づいて請求されることが多いため、V2Bは光熱費を削減し、送電網への負荷を平準化する可能性が最も高いと言えます。

  • 数台のEVの容量はごくわずかですが、大規模なフリートには送電網を支える潜在的な容量があります。これらのバッテリーが再生可能な電力で充電されれば、気候変動にプラスの影響を与えられる可能性があります。



今後の展望

EUはEVと再生可能エネルギーの最大の潜在市場の一つであるため、規則(EU)2023/1804の第15条が効果的に実施されれば、自動車メーカー、家庭用エネルギー管理会社、電気自動車供給設備会社、電力会社にグローバル規模で影響を与える可能性があります。

  • 規則の成熟に伴い、欧州委員会は二重課税(自動車のバッテリー充電時および、エネルギーを送電網に売電する際の両方の電力に課税される)などの細部に対処する必要があります。さらに、欧州ではダイナミック・プライシングの導入が限定的であるため、消費者にとってV2Gの魅力が低下する可能性もあります。

  • V2GとV2Hにおける標準化の欠如は、規則のもう一つの課題となり得ます。規則に概説される評価の一環として、業界の利害関係者は、一貫した標準、プロトコル、および実装スケジュールを確立するため協力して継続的な取り組みを続ける必要があります。これによりあらゆるEVが、あらゆるスマートEV充電管理システムと通信できる標準化されたコネクタを利用して、あらゆる双方向充電ステーションとシームレスにインターフェースできるようになります。さらに場所を問わず、あらゆる電力会社を通じてグリッドへの電力供給が可能になるはずです。


  1. 現在、EUと米国では、双方向充電が可能な車両と充電ステーションはわずかです。しかしながら普及は進んでおり、OEMや充電ポイントメーカーは、双方向充電をサポートする計画を発表しています。

  2. EU加盟国は、充電ポイントの配備と運用によって、EVがエネルギーシステムの柔軟性にどのように貢献できるかを評価する必要があります。評価では、同規則が定める要件を満たすための方策を特定し、すべての利害関係者からのインプットを考慮に入れなければなりません。

  3. 評価の結果により、EVオーナーだけでなく、OEM、充電ポイント事業者、家庭用エネルギー管理システム企業にとっても、さまざまなパートナーシップやサービスを通じて、新たな収益源やユースケースの機会につながる可能性があります。

  4. V2Gが効果的に導入されれば、再生可能エネルギー発電をサポートできる可能性があります。この組み合わせは、化石燃料をベースとするエネルギー源の使用を削減し、エネルギーおよび輸送部門の二酸化炭素排出量を全体的に削減するのに役立つと考えられます。また、定置型エネルギー貯蔵システムの必要性を減らすことも可能となります。


注視すべきこととは?

規則(EU)2023/1804の成熟に伴い、自動車OEMおよびEVSEの双方向充電対応製品を早期に導入する企業は、V2GまたはV2Hにおいて優位に立つでしょう。

  • Nuvveは、スクールバスが双方向技術の理想的なユースケースであることから、スクールバスを使ったV2Gへのインセンティブ付与の機会を模索してきました。スクールバスは大型バッテリーを搭載しており、運行時間が午前と午後に限られているため、電気料金が安いときに充電し、ピーク時にはエネルギーをグリッドに売電してコストを相殺することが可能です。

  • TeslaとGM は、すでにそれぞれの傘下に家庭用エネルギー管理会社を持っているため、V2GとV2Hのエコシステムにおいて優位に立っています。BMW、Ford 、Hondaも、消費者向けにV2Gサービスの合弁会社を立ち上げ、このパターンを踏襲しています。VolkswagenのV2Gへのコミットメントは、将来の自動車にもこの機能が搭載される可能性を示唆しています。

  • 双方向機能は、車両側で急速に進展しています。充電インフラと規則の状況はこのペースについていき、この技術を活用して利益を生むことができるのでしょうか?


とるべき対応

Evaluate

規則(EU) 2023/1804の導入による課題と機会を評価すること


Implement

双方向充電を導入する際の規制要件を満たし、顧客にとっての競争上の優位性を築くこと


Explore

双方向充電から生まれる新たな収益源や機会を模索すること


詳細に関するお問い合わせ

SBD Automotiveではカスタムプロジェクトを通じて、クライアントが新たな課題や機会へ取り組むことを支援しています。電気自動車やEV技術に関連する最近のプロジェクトに関する詳細や、その他ご要望については下記までお問い合わせください。



 

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