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Brandon Miller

Hyundaiの2024 Investor Dayでの発表は、EVの展望と新しいeモビリティ技術の進化にどのような影響を与えるのか?

EVは現在、従来のOEMメーカーやスタートアップが革新的なソリューションを展開し、EVおよびその技術の進化に貢献しており、世界的な普及が進みつつあります。EVの市場シェアも上昇しており、これは主に、消費者のEV購入およびOEMのEV生産を奨励すると同時に、広範な持続可能性目標を支援することを目的とした、政府のインセンティブ導入によるところが大きいと見られます。こうしたインセンティブが、OEM各社によるEV展開の加速や、EVラインアッの拡充を後押ししている一方で、一部の自動車メーカーは現在、EVエコシステムの枠を超え、新たなeモビリティ技術の調査、投資、実験に目を向けています。 

 

EVとその技術に関連する状況が急速に変化する中、これらの動向を追跡し、それぞれを分析して業界に与える影響を理解することは容易ではありません。本記事では、Hyundaiが開催した2024 Investor Dayに焦点を当て、そこで同社が共有した新たな発表、目標、EVおよびeモビリティ技術に関連する情報について紹介します。本稿では、その中でも特に注目すべきポイントを取り上げ、EVエコシステムの現状、新技術の展望、そして自動車業界全体への影響について分析します。 


Hyundaiと電気自動車

2024 Investor DayにおいてHyundaiは、「EREV」をEV関連の発表の主要な焦点としました。EREVは「Extended Range Electrified Vehicles」の略で、「REEV」とも呼ばれ、1回の充電でより長い航続距離を実現できるよう設計されています。このコンセプトをEVラインアップに取り入れたのはHyunaiが初めてではなく、BMWのi3やChevy VoltもEREVと位置づけられています。そのメリットを考慮すると、Hyundaiがこの技術を有望視する理由を理解することができます。 


例えば、EREVプラットフォームは、自動車メーカーが他の部分にほとんど変更を加えることなく、BEVとEREVの両方のバージョンを生産することを可能にします。EREVは、BEVに発電機を載せたものとみなすことができ、そのため加速性能やトルクは、BEVとほぼ同等です。消費者にとってEREVは、従来の内燃機関(ICE)車から完全電気自動車に直接移行する際の懸念を軽減する、過渡的な選択肢となり得ます。Hyundaiにとっては、EREVをラインアップに加えることで、ほとんどのユースケースでフル電動走行可能かつ、必要に応じてバックアップ電源を提供することができる30kWh程度の小型バッテリーを搭載した電動車両を販売することが可能となります。このバックアップ電源は、立ち往生することが生命にかかわるような寒冷地や遠隔地の消費者にとっては、特に有益な選択肢となる可能性があります。 

 

EREVはPHEV(プラグインハイブリッドEV)と似ているように見えますが、両者にはいくつかの明確な違いがあります。例えば、PHEVは通常、純粋な電気走行が可能で、より多くのパワーが必要なときやバッテリー残量が少ない場合には、エンジンを車輪と直接連結することができます。このため、エンジンのカップリングやデカップリングがスムーズな走行に影響を与える可能性があり、バッテリーが消耗するとスロットルレスポンスが変化することもあり得ます。EREVは、エンジンが車輪に直接連結されることはなく、モーターに完全に電力を供給するための発電機として機能するため、このような問題を回避できます。


ただし、EREVにはPHEVよりも優れている点がある一方で、BEVと比べるといまだ妥協しなければならない点もあります。EREVは内燃機関を搭載しているため、BEVにはないエンジン音や振動が発生します。また、エンジン回転数が車速に対してスムーズに変化しないため、ユーザーは違和感を覚える可能性があります。さらに、エンジンを搭載する必要があるため、EREVは重量やスペースの面で制約を受け、PHEVと同様にICEやBEVよりも部品点数が多くなり、コストや複雑さが増すことになります。 


HyundaiとEモビリティ

Investor DayにおいてHyundaiは、EREVだけでなくBEVにも積極的に取り組む姿勢を示しました。2030年までに21の新型BEVモデルを投入する計画で、同年の市場普及率を米国で46%、欧州で62%と予測しています。この目標は、BEVの将来に対する前向きかつ現実的なビジョンを提示するものです。さらに、2028年までに米国とカナダでのハイブリッド車販売台数を4倍に増やすという計画もあり、これにより販売されるHyundaiのほとんどの車両が電動化されることになります。

 

このプレゼンテーションでは水素技術に関する取り組みも強調されました。Hyundaiは自動車内外のさまざまな方法で水素に取り組み多額の投資を続けています。他の自動車メーカーが乗用車向けに水素を活用しようとしているのとは対照的に、同社は大型トラックに重点を置いています。Hyundaiの水素技術の最初の応用例のひとつは、ジョージア州に新設されるメタプラント施設向けのゼロ・カーボン輸送システムです。このシステムは、エンド・トゥ・エンドでの水素製造と利用を含む、より広範な水素ポートフォリオの一部であり、幅広いエネルギー能力をカバーすることを目標としています。このシステムを通じて、Hyundaiは自動車分野だけでなく、エネルギー分野全体において、脱炭素エネルギーのリーダーシップ確立を目指しています。,ToyotaのWoven Cityと同様に、Hyundaiもは、エネルギーサービスが社会の基幹となる、水素駆動の未来像を描いています。これまでのところ、水素の生産と消費における非効率性により、水素に対するこうした取り組みはいまだ目に見える成果をあげていません。ただし、水素ビジネスで大きくリードしているHyundaiにとって、技術的なブレークスルーはゲームチェンジャーとなる可能性があります。

 

ヒュンダイのEVとeモビリティに関する発表の下支えとなったのは、一連のバッテリー関連の発表だった。例えば、現代自動車は50兆8,000億ウォン(380億ドル/342億ユーロ/289億ポンド)の設備投資の一部を充電インフラに投資する。この投資の詳細については明らかにしていないが、既存のIONNAパートナーシップ(BMW、ゼネラルモーターズ、ホンダ、Mercedes-Benz 、起亜自動車、ステランティスとともに)を通じて、あるいは他のベンチャー企業を通じて行う可能性がある。ヒュンダイは、ジョージア州のメタプラントがハイブリッド車、EREV、BEVを生産する予定であることを明らかにした。しかしこれは、現代自動車のバッテリー・サプライヤーが、承認された国(つまり中国やロシアではない国)から重要な鉱物を確保できることが条件となる。これらの鉱物をより確実に管理し、入手できるようにするため、現代自動車は専用のバッテリーJVを設立する予定である。 


次のステップ

前述の通り、Hyundaiは先進的なEVおよび新たなeモビリティ技術の重要性を認識しており、EREVをラインナップに加えることでEVをより身近な存在にすることを目指すだけでなく、北米地域におけるハイブリッド車の販売を大幅に拡大する計画や、自動車およびエネルギーの両方のユースケースをカバーする完全な水素ポートフォリオを発表することで、代替エネルギー技術への強いコミットメントを示しています。 

 

SBD Automotiveでは、革新的なeモビリティ技術の進化を継続的に追跡し、今回取り上げたHyundaiのInvestor Dayのような業界イベントから得られた重要な情報をハイライトしながら四半期ごとに業界で最も影響力のあるトレンドや取り組み、開発について分析しています。SBD Automotiveが発行するこれらのレポートを組み合わせて活用いただくことで、本記事で取り上げたようなトピックだけでなく、自動車業界全体で進行している安全、安心、持続可能でシームレスなモビリティ開発の全領域について、常に最前線の情報を得ることが可能です。

 

SBD Automotiveでは電気自動車およびeモビリティ技術の最新動向調査し、レポートを発行しています。レポートに関するお問合せはSBD Automotiveジャパン(Postbox@sbdautomotive.com)までお問い合わせください。また、下記より担当者との打ち合わせをご予約いただくことも可能です。

 



 


 


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